絶望で死に至るのはもう飽きた

 

別にキルケゴールに恨みはないが。

「絶望すると楽になるね」

日本のロックバンド、BUMP OF CHICKENに「時空かくれんぼ」という曲があって、この見出しはその歌詞だ。

藤原、案外正しいぞ

私はちょっと昔のバンプは聞いていて、というのも地獄としか形容のしようのない2003年の閉鎖病棟時代に、相部屋だった子が聞かせてくれたのがバンプ(とGRAPEVINE)だったのである。
それはともかく、藤原基央らしい歌詞というか、まあ私は藤原に関しては歌詞より声を評価しているのだが、これ、案外ホントの話だよな、と思う。

ああ辛い、悲しい、僕・私はなんて不幸なんだ、かわいそうなんだ、と絶望に身を預けると、絶望は軽々とあなたの全身を、全思考回路を力強く抱擁し、あなたはもはや自分で考える必要すらなくなり「絶望」が具現化しただけの存在になってしまう。

そりゃ私だって絶望します

よく、LGBTの人もそうかもしれないけれど、メンタルヘルスに問題を抱えていたり、難病に限らず何らかの病気なり障害を抱えている人は、呪詛のようにこう唱える。

「僕・私が病気でさえなかったら」

でも、この呪文には、私はだいぶ前から抜け出した。はっきりと「いつ」とは覚えていないが、私はメンヘラ(とあえて書くけど)になったからこそ見えるようになったものが多くあるし、精神に問題を抱えていなければ縁のなかった人やものにたくさん出会えた。まめた君と知り合えたのも、もとをたどれば私がメンヘラで、メンタルヘルスの連載をやってたからだ。

別に「メンヘラでよかった!」って言ってるわけじゃないのは言うまでもないこと。今も苦しいし、通院めんどいし、薬で身体もぼろぼろになるし、夫の面倒も思うようにみられない。家族にも心配をかける。
絶望もする。私なんかダメだ、死んだ方がいい、存在していてはいけない、絶望絶望。

でもそれがナニ。

絶望というやつは伝播しやすいし、換言すれば共感を呼びやすい。

ああ、あなたも辛いんですか、私もなんです! 実は僕も辛くて! 辛いですねしんどいですね以下略。

やっぱり藤原は正しい。絶望すると楽になる。

「必要なことをしなさい」

鼻毛先生、かく語りき

私の現在の主治医・通称「鼻毛先生」は、私が人以上に些細なことに固執したり考えすぎたり、物事を大げさに捉えて独り相撲をとってしまうことをよく知っている。

特に夫がメンタル的に不安定になって、「ケアされる側」から「ケアする側」に回ったことでストレスは激増し、身も心もズタボロに限りなく近い状態に陥った。夫を責めているわけではない。「支え合う」ことの難しさ、自分にそれができないという自己嫌悪の話だ。

そんな時、鼻毛先生が言ったのである。

「あのね、あなたがいくら心配しても祈っても、旦那の状態は直接的にはよくならないの。
必要なことだけ考えて、必要なことをしなさい。
まず身体を治すこと。次に、リラックスできる環境を作る。で、ちゃんと安心すること」

これは絶望に浸ることとは正反対の行動だ。絶望は共感を呼びやすいし、安住もしやすい。

しかし鼻毛先生の言うことは違う。身体を治すには、薬を飲むだけでなく適度な運動や食事制限も必要で、リラックスできる環境を作るなんて頭も身体も使う重労働だし、「ちゃんと安心する」なんて、こんなメンタルでどうやってできる?

「アドバイスと称して自分の成功体験を押しつけるな」

この発言は、ツイッターで有名な病理医ヤンデル先生のツイートの意訳だ。
以下は、私の成功体験。助言でもなければ命令でもない。信じなくてもいい。

結果から言う。
フィットネスに通い始め、書く環境を整えるのに模様替えをしたりドトールに通ったり、安心するために試行錯誤していたら、「絶望するヒマがなくなった」。

今は夫が復職して状況が違うから、たまに絶望ちゃんが幻聴と共にやってきて頭の中で騒ぐこともあるが、私はやっぱり絶望したくないのだ。まして自分の絶望を拡散して悲劇のヒロインを気取る趣味もないのだ。

前を向いてわりーかよ、私は前に進むぞ

こういった「前向き」で「ポジティブ」で「生産的」なことを言うと、一部の人々はよく思わない。

「おまえは回復してきてるから言えるんだ」
「手帳も持ってないくせに」
「結婚してるからどうせ軽度なんでしょ」
「僕・私はもっと重篤だからそんなことできない」

あのなぁ、と思う。
私は別に不幸自慢大会にエントリーした覚えはねーんだよ。絶望の沼に肩まで浸かって動けなくなるなんてご免なだけだよ。そりゃこの17年間で、確かに私にもそういう時期はあったよ。でも今は違う。

私は夫のためにもよくなりたいと思うし、そのためなら大嫌いな「ファッキン・エフォート(※クソ努力)」だってしてやんよ。

またも長くなったけど、これが今の、私の「絶望」に対するスタンス。
“I need to be myself,” リアムも正しかったね。

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