全ての元凶
戸村の人生が変わってしまった動画
中学二年のある夜、今はなきBS2で「21世紀に残したいロックの名曲ランキング」といった趣旨の番組をやっていた。
まだ洋楽は親が持っているレコードくらいしか聞いていなかったわたくし戸村は、
「ビートルズが一位に決まってる。『Hey Jude』か『Let It Be』だ」
と物知り顔で番組を見ていた。
しかし、第三位に「Let It Be」がランクインしたのを見て、私は喫驚した。
「……ビートルズより、上がいるのか?」
第二位は、髪の長い派手な格好の男がギャンギャン叫ぶ曲で、余談だがAerosmithの「Angel」であった。
そして満を持して発表された第一位がこの曲、Nirvanaの「Smells Like Teen Spirit」だったのだ。
衝撃とかじゃなかった
上に貼った動画は、実際にBS2で私が見たものである。
ここでいきなり「うわあなんだこの音楽はすげえぜハマるぜ!」とは、全然ならなかった。
わけが分からなかったのだ。
バンド名もきちんと覚えられず、「エルヴァーナ」と勘違いしていてなかなか見つけられなかった。
しかしCDショップで、かの有名な、赤ん坊が1ドル札めがけて泳ぐジャケットを発見し、私は「Nevermind」を購入した。
そこから一気に洋楽を掘り下げだしたわけではない。
中学三年になってから、Rolling Stone社が出した「カート・コバーン・トリビュート」という大判の本を見つけ、5000円もするそれを、私はある種の勇気を持って購入した。
ロックにも色々あるらしい
洋楽雑誌「Rockin’ On」に出会うより遙か前に、私はこの本を読んでカートについて、グランジについて、パンクについて「勉強」した。
「ロックには種類があるらしい」
「パンクというのがかっこいいらしい」
「ロックにも歴史があるらしい」
「ロックシーンなるものがあるらしい」
…………
そうして、ややパンク寄りの知識を得て、私は洋楽ロックの深みにハマっていった。
当時世間はヴィジュアル系が多いに流行っていた。女子達がラルクやらグレイやらで盛り上がる中、私はひとり「稲中卓球部」を読みながら、教室の隅で「Nevermind」を聞いていた。浮いて、ました。
そんなわけで、これが私とロックミュージックの出会いである。正確にはグランジ・パンクだが。
今ではジャンルに関係なくいいものはいいと言えるし色々聞くけれど、何しろ当時はリアル中二、意識高い系(と思われるバンド)を聞くようになっていった。
発病寸前に、MUSEという私の「地球で一番愛しているバンド」とそのシンガー、マシュー・ベラミーが登場するのだが、それはまた別の機会に。
まめた君の音楽遍歴も気になる今日この頃。
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